【コラム】フォックス咲子さん・言葉を勉強すると見えて来るもの(第3回)

★連載1回目から読みたい方はこちらからどうぞ。
第1回 そもそもなぜ英語を学ぶ必要があるか?

第2回 日本の英語教育がうまくいかない理由

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「言葉を勉強すると見えて来るもの」

メンバーのフォックス咲子です。

英語教室主催、通訳・翻訳をしています。

英語を教える側の視点から、そして、外国語として英語を勉強した立場から、英語を学ぶことについてシリーズで書いていきます。

今日は、その3回目です。

外国語を勉強すると見えてくるもの、または、それによって得られるものは計り知れないと思います。
まず、身近なところですと、海外旅行で困らないとか、海外の通販サイトでも買い物ができる、などでしょうか。
少し長い目で見れば、「手に職がつく」とか「資格が得られる」「就職の選択肢が広がる」というのもあります。
でも、今日はちょっとその先に進みたいと思います。
一つ目は、言語の背景にある文化を知る、です。
言語学んでいくと、必ずぶち当たる壁があります。
それは、文化や歴史を知らないと意味が理解できない単語や表現が出てくるということです。
ここでは英語の学習を例にお話します。
英語のことわざには、聖書からの引用が多くあります。
英語圏の人の名前も、聖書に出てくる登場人物の名前が多くあります。
(トーマス、ジョン、デービッド、マリアなどは聞いたことがありますよね)
英語圏の国は、多くキリスト教が広まっていますが、そこにユダヤ教やイスラム教など、宗教が複雑に絡んだ歴史と、それと共に発達してきた文化があります。
それらの背景を少しでも知っていると、
「だからこういう言い回しをするのか」
と、腑に落ちることがたくさんあります。
これは、どの言語にも言えることでしょう。
日本語のことわざや熟語は中国の故事からの引用が多く、だから学校でも元となった物語を勉強しますね。
(四面楚歌、一石二鳥など)
そして、それが食文化にも多く影響しています。
ユダヤ教やイスラム教の人は豚肉を食べません。
キリスト教のイースターには卵が登場します。
和食も仏教や神道に影響を受けているのと同じでしょう。
ですから、日本の文化を知ることにより、日本語という言語をより理解できるようになるわけです。
このように、言語の学習は、数学のようにそれ単体で成り立つものではないのです。
言語は人々が使う道具なので、勉強すればするほど、それを取り巻く歴史や文化が見えてくることになります。
二つ目は、心が広くなる、です。 言葉の勉強と広い心は、無関係のようですが、実はそうでもありません。
バイリンガルの子供を例にあげます。
バイリンガルと脳の発達についての研究は沢山の学者さんたちがしています。
ここでは難しい学術記事ではなく、私が身近で見てきた経験に基づいてお話します。
私が住んでいたオーストラリアは移民国家なので、2つ以上の違う言語を話す両親を持つ子供が沢山います。
同時に、両親が英語だけという環境の子供も沢山います。
両方を見比べていると、複数の言語を話す環境で育つ子供は、往々にして言葉が遅く、お母さんたちがみんな心配します。
これは、おそらく「観察して吸収する」量が単一言語よりも多いためではないかと思います。
ただ、一度話し出すと、どこで覚えたんだといういうような、大人っぽい言葉を使ったするのも早いです。
さらに、複数言語の子供は、一つのことを現すために複数の言い方が存在するということを、早いうちから習得します。
例えば、りんごは英語で apple ですが、フランス語、中国語ではそれぞれ違う単語ですね。
私がオーストラリアの小学校で英語授業のアシスタントをしていたとき、ネイティブの子供たちと話をしていて、よくこんなことがありました。
バイリンガルの子供に
「apple は、日本語で『りんご』って言うんだよ」
と言うと、
「ふーん、ri-n-gou ??」
とすんなり受け入れるのですが、英語だけを話す子は
「えー、なにそれ!apple はapple だよ。変なのー」
という風に、イマイチ違う意見は受け入れがたい、という感じがしました。
全ての子供に当てはまらないとは思いますが、似たようなことが多々あったのを覚えています。
これは、学術的にも統計が取られているようですが、あながち嘘ではないなと思いました。
というわけで、ひいてはこれが、自分とは違う意見を持つ人や、自分の中の常識を覆すような出来事に対して、
「そういう事もあるんだな」と、同意はしなくてもとりあえず受け入れる、という態度につながっていくような気がします。
これは、バイリンガルの特権ではなく、大人の入れ知恵も大きく影響しているでしょう。
大人が「そういうもんだ」という態度を常にとっていれば、そのまま子供に伝わってしまいます。
「心が広くなる」というのは、少々大げさなようで、そうでもないと思います。
この、人の意見を「とりあえず」聞ける、というスキルは人類みんなが身につければ、戦争が起こらないレベルにも行くでしょう。
今回は、話が飛躍した!と思った方もいるかもしれませんが、
言葉の学習=喋れるようになる、
ということの他にも得るものがある、ということが伝われば、と思います。

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サポラボのブログでは毎月会員の皆さんにコラムを執筆していただいています。
読むだけで考えるきっかけや生活のヒントになるようなエッセンスをお届けします。

 

 

 

 

 

 

今回、執筆してくださったフォックス咲子さんは、オーストラリアで長く生活をされ、ご主人もオーストラリア人ということで、
多角的な視点で「英語教育」や「言葉」「文化」という切り口でお書きいただいています。

咲子さんは、外国人観光客と山梨の魅力あふれるスポットを「言葉」でつなぐお仕事もされています。
観光地などの案内、看板など英語表記で気になるものもちらほらあるとおっしゃっています。
英語で困っているという観光業の方、飲食店の方など、ぜひお問い合わせください。
メニューの翻訳やアレルギー対応に関する英語のニュアンスなどきっと力になってくださると思います。
咲子さんへのお問い合わせは、こちらをご覧の上、
http://supportlabo.com/sakikofox/
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(サポラボ事務局)

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